· 

秋、ものおもい

季節がまた変わった。

光も、空気も、いつのまにか秋になっている。

時間は「ふふん」と笑うように、後ろ姿で過ぎていく。

「ひゃー、もう追いつけないわー」

そんな気持ちはさらさらないのに、笑う。

 

あふれかえる情報も、日々変わる情勢も、そして、価値観すらもぐるぐる回っている世の中。外をいちいち気にしていたら目がまわる。見なくていいもの、知らなくていいこと。そういうことを自分で選ばなくてはいけない時代だ。

いろんなことが、ものが、変わる。もちろん人もだ。

木漏れ日がゆらゆらと揺らいでいる。

なくてはならないもの。

そう信じて疑わなかったものの中に、ひょっとしたら錯覚も、まぎれているのかもしれない。

色が薄くなった葉を眺めながら、そんなことが頭をよぎる。

 

まぁ、いいことにしよう。

今考えても仕方のないことは、考えないに限る。大切なのは、後悔しない時間を過ごすこと。自分が良いと感じる方向に進むしかない。気が変わったら、変わったことを受け入れればいい。

変化を楽しむ。

とまではいかないにせよ、少なくとも自分が選んだことなら、後悔はないはず。

そう考えたら、急に力が湧いてきた。

私はやっと椅子から立ち上がった。

「まずは掃除だ!」